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中小企業でも実践できる安全衛生活動として、今回は「5S運動」をご紹介致します。

5Sとは

5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「習慣(しつけ)」をローマ字表記したときの頭文字が全て「S」になることから、そのように呼ばれています。5Sを実践する一番の効果は、無理・ムダ・ムラなく「効率的に仕事が出来る」ということではないでしょうか。そして、効率的に仕事ができるからこそ、安全面・衛生面の良い結果に繋がると思います。それでは5Sの各項目を個別に確認していきましょう。

整理

整理とは言い換えると「論理的に分類すること」になるかと思います。必要な物であるかそうでないか、よく使う物かそうでないか、重いものか軽いものか、高いのか低いのか、身体に無理が掛かる作業姿勢かそうでないか、等々、物・場所・作業方法等を分類することで効率的な収納やレイアウト、ムダの排除へ繋げていきます。生産性の向上は勿論のこと、通常は「効率的な作業姿勢」=「身体に無理のない作業姿勢」になりますので、労働災害の予防にも繋がります。

整頓

整頓は所定の位置・場所へ(主に)物を配置・収納するというイメージです。整理の段階で効率的なレイアウトが考えられているはずですので、その効率的な位置・場所に(物が)常にあることで、効率を妨げることなく作業をする事が出来ます。また、物を探す、物や人を不必要に動かすというムダを無くすことが出来ます。あるいは、あるはずの位置・場所に物が無いことがわかれば、欠品や異物混入への気付きにも繋がります。

清掃

机周り、機械設備周り、床など職場のゴミや不要物を除去することです。ゴミや不要物が散らかった状態では効率的に仕事をする妨げになりますし、お客様の目に触れるような職場であれば、お客様の信用を失いかねません。その他、危険物や不安全状態がゴミや不要物の影に隠れてしまうことによる危険の除去、ゴミや濡れた場所で細菌の繁殖や虫が発生することの予防になりますので、安全・衛生の観点からも重要です。

清潔

汚れを取り除いて綺麗な状態を保つことです。食品を扱う職場であれば、食中毒や害虫発生の予防という観点から当然に必要なことですし、その他の職場においても、例えば機械の正常な動作を維持するため普段から汚れを取り除くことは効果的です。

習慣(しつけ)

整理・整頓・清掃・清潔は頭で理解しても継続して実施することはなかなか難しいものです。これを定着させるために、1つは経営トップが本気の姿勢を見せることが有効です。経営トップが本気を見せることで従業員に「やらなければならないこと」として伝わります。時間の経過とともに効果が薄れていきますので、定期的に意思表示をすることが重要です。

そしてもう1つは職場の管理者が口を酸っぱくして言い続けることです。人間誰しも楽な方に流されてしまうものですので、多少口うるさいと思われたとしても、現場の管理者による引き締めは必要です。(整理・整頓・清掃・清潔を実施する理由と目的を理解できていない場合は、それらの説明も併せて必要になるでしょう。)また、習慣として一度定着した後であっても、職場の人が入れ替わるなどして、せっかく定着したものが崩れてしまうこともあります。この場合も、職場の管理者は忍耐強く指導する必要があるでしょう。

安全衛生活動と作業効率化・生産性向上

安全衛生活動に取り組んだことがないと、安全衛生活動は会社の利益に貢献するどころか、むしろ足を引っ張るイメージを持たれがちです。しかし、先にも見てきた通り、安全衛生活動には作業の効率化や生産性の向上という側面があることを見逃してはなりません。そればかりか、業種によっては企業の存続を影から支えることにもなるでしょう。(例えば、食品業界であれば食中毒や異物混入で倒産の危険性もありますが、日頃から5S運動に取り組んでいれば、そういった事故が発生する確率をゼロに近づける事が出来ます。)

安全衛生活動が利益に貢献しないというのは思い違いであることがご理解頂けましたでしょうか。安全衛生活動は利益に貢献できます。明日と言わず今日にでも出来ることを初めてみましょう。

参考資料
製造業向け 未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル(厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署・(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会)
以下リンク先からダウンロード出来ます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html