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夏の時期に賞与をお支払いになる企業は多いと思いますが、賞与を支払った場合に忘れてはならないのが「被保険者賞与支払届」です。(これ以降は「賞与支払届」と省略します。)賞与支払届は毎月提出する手続きではないため、やり方・書き方を忘れてしまいがちな手続きですので、よくある疑問・質問にお答えしようと思います。

  1. 賞与支払届の提出が必要な賞与とはどのようなものですか?
  2. 日本年金機構のHPには次の通り記載されています。

    『賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものをいいます。なお、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされ、また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は、対象外です。』

    主なポイントは、

    1. 労働することと関係なく支払われる各種祝い金や実費弁償的な通勤手当は賞与に該当しません。
    2. 臨時的に少額で画一的に支払われるような、いわゆる大入り袋は賞与に該当しません。
    3. 年4回以上支払われるものは賞与に当てはまりません。(年4回以上支払われるものは、算定基礎届を提出する際に賃金に含めて計算しなければなりません。)

    これらの条件に当てはまらないものは、原則として全て賞与と判断します。ただし、判断に迷う場合もあると思いますので、そのような場合は管轄の年金事務所へ確認をするようにして下さい。

  3. 賞与支払届が送られてきましたが、今回は賞与を支給しません。どうすればよいですか?
  4. 賞与を支払わないこととなった場合、個人毎の金額を記載する賞与支払届そのものの提出は不要ですが、「被保険者賞与支払届総括表」は提出する必要があります。この総括表には「支給・不支給」の欄がありますので、不支給に丸印をつけて提出します。

  5. 送られてきた賞与支払届に最近入社した従業員の名前がありませんが?
  6. 賞与支払届は、賞与支払予定月の前々月の19日までの情報を基に作成されているため、最近入社したという場合や、被保険者資格取得届の提出が遅れてしまった場合には、氏名が記載されません。氏名が記載されていない従業員がいた場合は、賞与支払届に手書き等で追記して提出します。入社して間もない従業員に賞与を支払うことはあまり無いと思いますが、たとえ賞与を支払っていなかったとしても追記します。

  7. 賞与を10日と20日の2回に分けて支払いました。賞与支払届はどのように記載しますか?
  8. 賞与を同じ月に2回以上支払った場合は、全てを合算した金額で記載します。また、支払年月日は一番最後に支払った日付を記載します。

  9. 今月退職する者に賞与を支払いました。賞与支払届の提出は必要ですか?
  10. この場合、2通りが考えられます。

    1. 退職が賞与支払日より前の場合(退職後に賞与が支払われた場合)
    2. 賞与支払届の提出は不要です。

    3. 退職が賞与支払日より前の場合(在職中に賞与が支払われた場合)
    4. 賞与支払届の提出が必要です。

    退職後に賞与が支払われた場合、賞与が支払われた時点で既に被保険者でなくなっていますので、賞与支払届を提出する必要はありません。その一方、在職中に賞与が支払われた場合は、被保険者期間中の支払いとなるため賞与支払届を提出する必要があります。

    ここで少し詳しい方なら、「退職月に支払われた賞与の保険料は(月末退職の場合を除いて)発生しないはずなのに、なぜ賞与支払届の提出が必要なのか?」と疑問に思われたことでしょう。提出が必要な理由の1つは、健康保険において資格喪失日の前日までに支払われた賞与については、標準賞与額として決定し、標準賞与額の累計額(年度の累計額573万円)に含めるため。もう1つの理由は、資格取得と資格喪失が同月の場合には保険料が発生するため、これらの理由により賞与支払届の提出が必要となります。

  11. 賞与支払届を紙の申請書以外で提出する方法は?
  12. 賞与支払届は紙の申請書以外に、CDやDVDにデータを記録して提出することが可能です。CDやDVDでの提出を希望される場合は、管轄の年金事務所にご相談下さい。また、その他にもe-Gov(イーガブ)という電子申請(=オンライン申請)という方法もあります。ただし、本稿執筆時点では電子申請の使い勝手があまり良くないため、お薦めはしません。(電子申請の使い勝手を良くする取り組みがされていますので、近い将来には状況が変わっているかもしれません。)

    以上、賞与支払届に関してよくある質問にお答えしましたが、お役に立ちましたでしょうか?この他にも疑問・質問がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせ下さい。

    参考
    日本年金機構ホームページ http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141203.html